撮影の日記」カテゴリーアーカイブ

黒岳〜旭岳縦走(紅葉の始まった大雪山を歩く)

■大雪山メインルートを歩く …標高2,000mの稜線漫歩

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「お盆過ぎたらもう秋」という言葉がこちら北国では常套句だとはいえ、
青少年期を過した本州の残暑を思い出せない自分が未だに不思議である。
感覚とはかくも曖昧なもので、適応とはかくも強い作用なのかと。

さて今年の紅葉の始まりは少し早いようだ。先日大雪山のメインルートを歩いてみたところ、予想外にナナカマドの赤が鮮やかで、草紅葉もウラシマツツジも最盛期の赤色を呈していた。ただダケカンバの黄色はまだ色づきが遅いようで、赤・黄・緑の見事な大雪紅葉図にはもう少しかかるかもしれない。

今回は山仲間二人と、黒岳から入って旭岳へ抜ける大雪山縦走を試みた。それも最初と最後にロープウェイを使う、私にするとかなりリッチな計画である。

層雲峡から朝一番(6:00)のロープウェイとリフトを乗り継ぎ8合目に達すると、いきなり200mの急登が始まる(6:40)。体が温まりやっと調子が出る頃、黒岳山頂に到着した(7:45)。


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大雪山の林道を歩く「忠別林道 その1」

秋にかけてお預けになっていた課題をひとつこなすことにした。

大雪山の東側は石狩川の源流域で、昔から林道や作業道が山裾に延びている。
現在この地区のほとんどの林道が、豪雨による土砂流失などの災害で通行止めのままになっているが、私は以前からこれらの道を訪ねてみたいと思っていた。
中でも、登山道とセットで放置されたままの「忠別林道」はその状況を確かめる価値があると考えたのである。

忠別岳シビナイコース

忠別林道は忠別岳へ直接登る唯一の登山道・旧シビナイコースへのアプローチ道でもある。
ゲートから5km入ると登山道の入口があり、公には十年以上前に廃道とされたがその後も細々と利用されてきた。

忠別岳は大雪山最奥の縦走ルート上にあり、トムラウシ山と表大雪の中間点にあたる要衝だ。
このシビナイコースがもし復活すれば、天候急変や事故時のエスケープルートとして非常に有益であろう。この登山道の使用可能性を調べるため、まずはアプローチの忠別林道を歩いてみた。

忠別林道ゲート

忠別林道ゲート

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大雪山の沢登り〜トムラウシ川とワセダ沢(後編)

(再掲)コース図 我々は下方のワセダ沢班

(再掲)コース図
我々は下方のワセダ沢班

さてヒサゴ沼を目指して、我々は地獄谷からワセダ沢を詰めて行きました。その続きです。
滝の連続を乗り越えてさらに1時間くらい行くと、水も減っていよいよ源頭部に至ります。このあたりまで来ると、水流はほとんどなくなり高山の花たちが急に目立ち始めます。

雪渓の脇に沿うように、安定した岩を選んで踏み登っていきます。小さな花の美しい姿が元気づけてくれます。今はエネルギーを呼吸と足に集中させ、登ること以外何も考えないようにします。 続きを読む

大雪山の沢登り 〜トムラウシ川とワセダ沢(前編)

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ヒサゴ沼の夜明け(大雪山)

今年のお盆休みに、所属する山岳会の夏の恒例行事「集中山行」に参加してきました。
「集中山行」とは予め決められた目的地へ複数パーティーがそれぞれの好きなコースを辿り合流する山行です。
今回の私たちの目的地は、大雪山の最奥地トムラウシ山域の「ヒサゴ沼」でした。美しい水面と白い雪渓が印象的な心地よい場所です。 続きを読む

大雪山・クワウンナイ川遡行の記

「北海道の屋根」大雪山、その最奥に位置するトムラウシ山は「遥かなる山」と呼ばれ岳人の憧れである。

7月、高山に花が咲き乱れる季節に、私は山仲間2人と共にこの山を目指した。
美しいナメ滝で有名なクワウンナイ川を遡行して山頂に至る計画で、私の胸は高鳴っていた。そしてこれ以上ない好天にも恵まれて、まさに忘れ得ない山旅となったのである。

「遥かなる山」トムラウシ

「遥かなる山」トムラウシ山

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東大雪に惹かれて

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■ 冬から春へ

今年は東大雪の糠平、幌加、然別湖を中心に撮影に入っています。
一年を通じて人気の大雪山の中で、比較的静かなこの地域が僕は好きです。
太古の姿を感じさせる森や湖沼。過ぎ去った時代を静かに伝える鉄道橋跡など、
渋く深い魅力に溢れたこの東大雪で、何に出会えるか楽しみです。

本州では桜と陽光の春ですね。北海道はまだ雪の日がありますが
西高東低の冬型は減り、降り注ぐ日差しが確実に野山の雪を薄くしています。

2月には賑わった糠平湖の氷上ワカサギ釣りも、もうすっかり姿を消しました。
然別湖コタンの名物、氷上露天風呂も三月で終了、春の準備が始まっています。
去りゆく純白の季節を惜しみつつ、輝く青葉の季節を待ち望むうれしさです。 続きを読む

新年のご挨拶と抱負

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遅くなりましたが、新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は日本全体がいろいろな意味で大きく揺らいだ年でありました。
東日本大震災による被害が最たるものですが、それに付随する形で今の日本の抱えている根深い病が一気に顕在化したように思います。
特に政府閣僚がこぞって当事者意識と大局観を欠き数々の失態が演じられました。

首相の無見識が復興着手を妨げ、脱原発の不毛な闘争が煽られている間、わが国が被った無駄な消耗は計り知れません。
未曾有の危機に対応できず幼稚さを露呈した政治に多くの人が危機感を抱きました。

政治の低劣さは、あくまでも彼らを国政に送り込んだ国民全体の責任です。
ひとりでも多くの国民が現実に目覚め、諸問題に対して私心を排し力強く見識を発揮して行動する平成二十四年になりますようにと、
天照大御神を始め八百万の神、そして国難に殉じた英霊を思い、静かに誓いを立てる次第です。

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沢登り

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この夏、私の「マイブーム」は沢登りである。
所属している山岳会の大先輩たちと一緒に、滝を登り岩をよじり、時には淵を泳いだり。
背丈を超える笹薮の中を煤だらけになって漕いで、山頂へ至る。

沢登りは登山道のない時代の原始的な山の世界を楽しむ、ある意味贅沢な趣味だ。
だがその自然度の高さゆえに甘えの許されない緊張と背中合わせである。
登山をする人は多いが、この魅力に目覚めるかどうかは、人それぞれであろう。

一昔前の登山ブーム時代には男女を問わず沢登りを楽しんでいたが
昨今の「山ガール」ブームが「沢ガール」へと移行するかどうかは微妙である。


先日、支笏湖にほど近い漁岳(いざりだけ)という山へ沢登りをしてきた。
この山には春の残雪期に一度スキーで登ったが、そのときに聞いた夏の沢登りの話が心に残り、今夏それが早くも実現したことをとても嬉しく思った。

技術的に難しい沢ではなく、しかも渓谷の様相が大変美しく、山頂の眺めもいい。
深い淵の緑色は溜め息がでるほどだった。


沢登りは魅力的だ。
誰もいない河原でのキャンプと焚き火。釣った魚で飲みながら語り合う夕べ。
ごつい岩をよじ登り、滝の飛沫に打たれ、函を泳いで川水で全身を濡らして
虫やクモの巣、濃い笹薮をかき分けて、ハイマツの松脂にまみれて目指す山の頂。
沢から山を登っていくときの感覚は、普段私たちが忘れている何かを確実に刺激する。


合理的思考と原始的直感が渾然一体となるそのとき、「至上の知」の形が現れる。
その体験は、私たちが生きていることの本質に深く関わっているように思う。

(photo: 漁川遡行中の美しい淵)

日本の自然を守るのは誰か

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夕張岳の沢(ペンケモユーパロ川)

先の小笠原諸島の世界自然遺産登録の報道は、近年の例に比して案外静かだった。

まず小笠原諸島はやはり遠い島であり一般の関心を惹きにくいことがあるだろう。
白神山地や屋久島、知床のようにブームになりそうもなく、震災後の世間の鎮静な雰囲気もある。あるいは「世界遺産」自体が早くも陳腐化してきたのかもしれない。

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「内なる自然」への思い

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ブログは頻繁に更新するものだと
やる前には当たり前のように思っていたのですが
実はたいそう難しいことだなあと
やってみて気づいたのであります。

少しでもきちんとした文章を書こうとすると
論旨がなかなかまとまらず、思いが先走りがちで
何度も何度も校正、書き直しを繰り返して
そのうちに忙しさにかまけて放ってしまい・・

こんなことではいけない、と気持ちを変えまして
随分久しぶりの書き込みです。


先月HPのギャラリーを更新しました。
主題は『逍遥 ~内なる自然への旅』です。
年に一度の更新(決めたわけではありませんが)なので
いろいろ考えて構成しております。

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