沢登り

110826-photo
この夏、私の「マイブーム」は沢登りである。
所属している山岳会の大先輩たちと一緒に、滝を登り岩をよじり、時には淵を泳いだり。
背丈を超える笹薮の中を煤だらけになって漕いで、山頂へ至る。

沢登りは登山道のない時代の原始的な山の世界を楽しむ、ある意味贅沢な趣味だ。
だがその自然度の高さゆえに甘えの許されない緊張と背中合わせである。
登山をする人は多いが、この魅力に目覚めるかどうかは、人それぞれであろう。

一昔前の登山ブーム時代には男女を問わず沢登りを楽しんでいたが
昨今の「山ガール」ブームが「沢ガール」へと移行するかどうかは微妙である。


先日、支笏湖にほど近い漁岳(いざりだけ)という山へ沢登りをしてきた。
この山には春の残雪期に一度スキーで登ったが、そのときに聞いた夏の沢登りの話が心に残り、今夏それが早くも実現したことをとても嬉しく思った。

技術的に難しい沢ではなく、しかも渓谷の様相が大変美しく、山頂の眺めもいい。
深い淵の緑色は溜め息がでるほどだった。


沢登りは魅力的だ。
誰もいない河原でのキャンプと焚き火。釣った魚で飲みながら語り合う夕べ。
ごつい岩をよじ登り、滝の飛沫に打たれ、函を泳いで川水で全身を濡らして
虫やクモの巣、濃い笹薮をかき分けて、ハイマツの松脂にまみれて目指す山の頂。
沢から山を登っていくときの感覚は、普段私たちが忘れている何かを確実に刺激する。


合理的思考と原始的直感が渾然一体となるそのとき、「至上の知」の形が現れる。
その体験は、私たちが生きていることの本質に深く関わっているように思う。

(photo: 漁川遡行中の美しい淵)

沢登り」への2件のフィードバック

  1. やっさん 投稿作成者

    確かに沢登りはリスクは多くなるので、一人では行きづらいですね。
    台風が去り当地には秋の風が涼しくなってきましたが、ぐずついた天気はまだ続きそうです。
    井戸水なつかしいです、冷たくて美味しいでしょうねえ。
    (2011.9.14  02:03)

    返信
  2. 清水の山内

    沢登というと、一人ではちょっと手が出ないかなというイメージですが、登山の行き返りには、よく、沢で気を入れなおしていました。
     さて、この度のノロノロ台風では、各地に大きな被害が出ているようです。水は、津波、土砂崩れなどの災害をもたらすこともありますが、同時に、我々が生きていく上で必要不可欠なものでもあります。先日、井戸水が止まってしまった時には、青ざめてしまいました。普段の生活での水の使い方を見直しているところです。
    (2011.9.4  08:57)

    返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください