月別アーカイブ: 2009年10月

旅を終えるものたち

Pink_Salmon

知床半島の川で撮影しているとき
たくさんの遡上するカラフトマスを見た。
長い旅の果てに帰ってきた彼らは
故郷の川で 最後の仕事 繁殖の営みを終えて
今 眠りにつこうとしている。

早朝 冷え込んだ秋の川で
ふらふらと、力尽きて流される一匹のカラフトマスを見た。
懸命に体をくねらせて川岸の溜りにたどり着くと
先に逝った仲間の体に寄り添うように静かに横たわる。

瞳に映る晩秋の高い青空に 白い雲がひとすじ流れていた。
ああ
なんだろう この胸の底にうずく哀しみは
魂の共鳴とでもいうような
深いところから湧き上がる哀愁に満ちた感動は・・・

その瞬間
僕はもしかすると
生命の根源のようなもの 宇宙の真理というものに
億万年のときを飛び越えて
触れていたのかもしれない。

知床連山から吹き下ろす秋の風は
かすかに冬の匂いがした。

マガンの秋

091007-D-104_1

宮島沼が大賑わいの季節である。

美唄市にあるこの池は、シベリアから渡ってきたマガンたちが
本州へ渡る前にひととき羽を休める一大拠点だ。
多いときは6万を超えるという数が集結する。

ここ数年やや減少気味だとも聞くが、どうなんだろう。

このたくさんのマガンたちが、
夜明けとともに一斉に湖面から飛び立つ様はまさに壮観だ。
幾たびかの鳴き交わしが盛んに行われた後
羽ばたきは突然起こる。

数千、いや数万羽が黒い雲のように水面から湧き上がる。
轟音は天まで届かんばかり
黎明の空気を振るわせるその響きは
スサノオの天の詔琴もかくやと思わせる。

興奮の一大イベントであるが、いつもこの一斉のねぐら立ちが
見られるとは限らず、ちょぼちょぼと小分けになることも多い。

(脅かすと一部が慌てて飛んだりして乱れるので、なるべく
近づかずに観察しましょう。)

小学生の頃、「大造爺さんと雁(がん)」というお話を国語の教科書で読んだのを覚えている。
羽の一部の白い模様から「残雪」とあだ名されている賢いリーダー雁と、猟師の大造爺さんの、毎年繰り返されるかけひき合戦、頭脳戦。

ある年、連れ合いの雌の雁が怪我をして動けないのを守ろうとして
大造爺さんの前で逃げずにじっとしている「残雪」を見つけた爺さんが
「よきライバル」を撃たずに逃してやるという、いい話だったと思う。

マガンの季節にはこの話を思い出して懐かしい気持ちになる。
食えー、食えーと大声で鳴いているマガンだが、なんだかホロリとして
食指を動かす気持ちにはなれそうもない。

逝きし国士の面影

Tokachi_twilight_1

今日 私は大切なものを失った。

我が国を愛し想っていたと断言できる数少ない
政治家・中川昭一氏の訃報に接して
時が経つにつれ無念と悲痛が湧き上がってくるのを
如何ともしがたい。

一面識あるわけでもないというのに
私ごときの胸にすら迫る この空虚な失意は

中川氏の言葉に底流する保守の真理と知性
国を想い、信念を貫く一途で真摯な姿

そして
軽薄な商業主義にまみれ
価値の光を見失った世の中で
健全な未来を取り戻すために戦おうとする
氏の情熱への
限りなき追慕の想いゆえである

実直真面目な愛すべき酒豪
人間味あふれる英才・中川昭一氏
彼の人が皆に示した保守の精神への回帰の道を
私なりに心の指標として刻んで生きていこう。

氏は毎夏 靖国神社の英霊に詣でられていた。
私は、中川昭一氏もまた戦なき世の真の国士として
我が国を卑下し溶解させんとするものたちとの戦いに殉じて
英霊になられたのだと信じる。

心から冥福をお祈りするとともに
これまでのご努力、ご功績に感謝を捧げ
心の中でのお別れを申し上げた。

(願ハクハ共ニ我国ノ未来ヲ見守リ下サランコトヲ・・)

大雪山・高原沼の紅葉

Kogen_Onsen121

予定していた道東の取材を変更して大雪山の高原沼に入った。
この地域での撮影は私の秋の恒例行事である。

ただ今年はあまり時間が取れず、一日だけの取材となった。
その日は朝から曇りで紅葉撮影には向いているとはいえなかったが、
私は「どんな状況でも必ず美しさはある」と信じている方なので
勇んで沼巡りコースに入山した。

大学沼までの往復(ヒグマ出没のため規制されている・・・)は
慣れた道とはいいながら、毎回感動的な自然の色がちりばめられていて全然退屈しない、希有なルートである。

光が鈍い分、画面構成と対象の絞り込みに頭を使うので、
これはこれで結構面白い撮影ができたと思っている。

途中の沼でのんびり撮影しながら大学沼に着くと
大勢の人々が昼食を摂っている。
私も皆にならって今朝車の中で作ったおにぎりを頬張る。

「人間は米さえ食っておけば死にはせん」
いつか伯父が言ったことは私を支えている真実である。

帰りに林道沿いの渓流で釣りをした。
いかにも釣れそうな渓相なのだが、どのポイントを攻めても
不思議に全く当たりがない。

「まだ水温も高いのに、オショロコマ一匹かからないとは???」

昨日の雨でやや増水気味とはいえ、この程度なら問題なさそうだが。

もしや凄腕の釣り師が先に全部釣ってしまったのか?
それともエサが悪かったのか?(私はブドウムシを使っていますが)
高価なイクラでないと食べないのかな?

どなたか、9月のヤンベタップ川でオショロコマを釣るコツを
ご教授下さいませ。去年も全く駄目だったので悔しい・・・