「海洋立国・日本」を守れ 〜 建国記念の日に

■「建国記念の日 奉祝道民の集い」

2月11日は「建国記念の日」であり、私は今年も恒例の奉祝式典に出席してきた。
昨年と同じく今年も参加者がいっそう増えたなと感じられた。
メディアで広く宣伝しているわけでもないのに 自然に増えて行くということは、参加者による口コミや啓蒙活動に加えて、人々の中に自発的覚醒と行動が起きている証拠だろう。
昨今の日本全体を包みはじめている「健全な国家意識の復活」がここにも形になって見えて喜ばしい。

神武天皇の御東征(神宮徴古館蔵)

神武天皇の御東征(神宮徴古館蔵)

背筋を伸ばし直立して国歌を斉唱、気持ちが引き締まり清々しい。
来賓祝辞、祝電の披露。恒例の有馬氏の朗々とした祝吟が披露される。
普段聞く機会もない詩吟を拝聴できるのは、この式典での私の楽しみのひとつである。

明治天皇御製  「柱」

橿原(かしはら)の とほつみおやの 宮柱(みやばしら)
たてそめしより國はうごかず

建国記念日 半田晃陽

畝傍山上瑞雲深し  (うねびさんじょう ずいうんふかし)
古柏森々自づから襟を正す  (こはく しんしん おのづから えりをただす)
建国悠々たり 天祖の蹟  (けんこく ゆうゆうたり てんその あと)
紀元の奉祝 兆民の心  (きげんの ほうしゅく ちょうみんの こころ)

凛とした吟唱を拝聴して「自づから襟を正す」という気持ちになる。

■ 認識の転換「資源のある國・日本」

今年の講演の題目は『海に守られた日本から、海を守る日本へ』。
海洋政策が専門の東海大教授・山田吉彦氏の貴重なお話を聞かせて頂いた。
尖閣問題、小笠原の珊瑚密猟など、覇権を狙う中国の挑戦にわが国の領海が脅かされている現在、私たち日本人はこれまでの海に対する認識を大転換するべきときだ、というお話なのである。

奉祝式典の様子(山田教授講演中)

奉祝式典の様子(山田教授講演中)


「資源のない国」— それが私たちの抱いて来た日本のイメージであることは誰しも同じであろう。
だが1994年に海洋を巡る世界のルールが変わり、日本は世界第六位の広い領海をもつ国になった。
そのことは実はとても大きな意味をもつ。海は資源の宝庫だからだ。
近年の技術革新がこれまで放置されてきた海の厖大なエネルギーの利用を可能にしてきているのだ。

例えばメタンハイドレートについては、わが国の天然ガス年間消費量の94年分に相当する厖大な量が太平洋側の近海(静岡〜和歌山沖)に眠っており、低コスト高効率に掘削する技術がすでに実用段階にあり安倍政権になって本格的に掘削計画を始めている。

さらに驚いたことに、海水からウランを精製する技術がわが国で着々と開発されており、やがて日本はウランの輸出国になる可能性があるらしい。
そうなればまさにエネルギー政策の「大革命」である。

漁業資源についても目を開かさせるお話を聞かせて頂いた。
漁師さんが定置網などで獲る魚のうち「傷モノ」として売られずに捨てられている魚たちがかなりある。これらをスーパーが丸ごと買い取って魚フライや練り物にして売る意欲的な取り組みが始まっているらしい。
売り手と買い手の意識改革によって可能なことだが「命に感謝して、頂きます」の日本人の感性と習慣に沿った自然なかたちで無理なく食糧自給率向上に資するのである。

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これら話の数々は、日本がもはや「資源弱国」ではない、という新しい認識を与えてくれる。
かつて米国に石油を止められて、生存をかけて戦った悲劇を思えば、まさに隔世の感がある。

この豊かな海洋資源を各国が奪い合う時代になった、その節目が1994年の海洋条約だった。
領土から領海へと世界の意識は変わったというのだ。大陸国の中国は海洋国日本の1/4しか領海面積を持たない。彼らは豊穣の海を猛烈に欲して野望を逞しくしている。

山田吉彦先生は「今まで日本は海のお陰で守られてきた。しかし今後は海を自分で守っていくことが必要だ。この豊かな日本の海を守ってその恵みを頂くことで、未来永劫日本は自立して栄えて行くことができる」という。

そうなのだ。海外からの石油輸入に依存せずに生きられる日本、夢のような話が現実味を帯びてきている。そんな世界のエネルギー革命の中心に日本の技術が貢献するなら、いろいろな意味で素晴らしいことではないか。
だがそのためには私たちの領海が脅かされている現実をしっかりと認識し、自らの力で守ってゆく体制を一日も早く整えなければならない。

■ 海とともにある日本人

海と共に生きる我々の、海に対する信仰は神話の時代から連綿と続くことを改めて思った。

高天原の神であるイザナギ、イザナミ二神は大海の中に大八洲のわが日本國を生み出された。

海の神である大綿津見神は神武天皇の外祖父にあたる(豊玉姫、玉依姫の父)
また出雲の大国主神は海の彼方からやってきた神とともに国づくりをされた。住吉大社、金刀比羅宮など昔から航海の安全を司る信仰が各地にある。

イワレビコノミコトは 筑紫の日向の国を発し 海路を大和へ向けて十数年の旅をされた。
その苦難の「東征」を果たして橿原の宮で即位され、初代神武天皇となられた ——
そんなわが国の建国神話から今に続く「海の国・日本」の永い歴史に思いを馳せた紀元節の一日だった。

(終)

神武天皇の御即位(神宮徴古館蔵)

神武天皇の御即位(神宮徴古館蔵)

 

「海洋立国・日本」を守れ 〜 建国記念の日に” に1件のフィードバックがあります

  1. お茶と蜜柑

    我が家でも、建国記念の日に国旗を掲揚しました。日本国民が建国精神に立ち返って共に歩んで行ける日が来ることを、願っています。

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