十勝川河口域で

091218-D-019

先日、冬鳥を求めて遠出してきた。
行き先は十勝川河口域。

この北海道第2の大河は
大雪山の奥深くより流れ出し
多くの支流を集めて南へ下る。

やがて真東へ湾曲して帯広市を貫流し
東大雪からの音更川、日高からの札内川、
陸別からの利別川という大きな支流と出合う。

最後は豊頃町の南東に開いた河口から
広大な太平洋に悠々と溶け込んでゆくのだ。

この延長156kmに及ぶ大河が抱く自然、
野生動物たちの多様さは素晴らしい。

源流・上流域の山岳森林地帯はもとより
河口に発達した砂浜海岸と
雪の少ないこの地方ならではの冬の原野は
渡り鳥の中でも
ワシ・タカ類やフクロウ類といった猛禽にとって
格好の採餌・生息のフィールドとなっている。

僕はこの地域に毎年通っている。

年によって多少異なるが、いつも見る常連たちは
オジロワシ、ケアシノスリ、コミミズク。
中でもコミミズクは特に気に入っている。

中型のフクロウで、茶色に枯れた冬の原野を
優雅な低空飛行ですいすいと飛び回る。
濃いマスカラを塗ったような顔がユーモラスだ。

夕方、辺りを赤い光が包む頃に
防風林の柵や枯れ枝の低いところに止まって
原野をじっと見つめるコミミズクの姿は
幻想的な光景である。

ところで残念ながら今回の撮影は空振り。
冬鳥たちはまだ来ていなかったと思われる。

コミミズクはフクロウの仲間で夜行性だが
雪が積もると昼間でも活動するようだ。
積もった雪はネズミの捕獲を難しくするため
彼らも必死になるのであろう。

僕もそれだけ彼らに出会う可能性が増えるわけだ。
年が明けて粉雪が舞い白く凍り付く頃に
また探しに来よう。

そのときには去年来ていたケアシノスリも
見られるとよいのだが。

晴天率の高い十勝の冬は
放射冷却でぐっと冷え込む。
外気温はマイナス18℃
ばりばりに凍った水溜まりを踏み砕きながら
車をゆっくり走らせる。
太平洋から昇った朝の光が
日高山脈の白峰を淡く浮かび上がらせていた。

青空を優雅に舞う冬鳥たちの姿を
脳裏に描きながら僕は帰途についた。

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