もう昨日のことになるが、
NHKの夜9時のニュースで
ちょっと信じられない光景を見た。
昭和二十年三月十日といえば
僕のような戦後生まれでも知っている。
東京大空襲のあった日だ。
米軍のB29爆撃機が約300機で襲来し
既に防備力尽きた東京の下町を
一晩で四十万発の焼夷弾を落として
焼き払った。
死者は十万人以上。
人類史上最悪の空爆だったといわれる。
当時の悲惨な情景や回顧録を
僕も読んだり聞いたりした。
敗戦後に開かれた極東軍事裁判(東京裁判)では
民間人殺傷を意図したこの大空襲が
戦時国際法違反の犯罪であったとする
日本側の主張は 途中で
日本語訳が打ち切られ、議事録から消された。
東京裁判の不公正さはつとに知られている。
大空襲は明らかにアメリカの戦争犯罪であるが
連合国側の裁判官たちは、原爆投下の罪とともに
徹底的に無視したのである。
*** *** ***
さて、本題はここからである。
この東京大空襲で亡くなった人たちの遺族が
原告となって訴訟を起こしていた。
相手はだれか?
空襲の被害について訴える相手は、誰なのか。
こともあろうに日本政府だった。
これはどうみてもおかしい。
もしアメリカ合衆国を訴えるなら筋が通る。
実際には無理だろうが、考え方はまともだ。
だが彼らはこういうのだ。
「軍人が恩給や援護法を受けているのに
民間人の被害者は何の援護もなく放置された」と。
亡くなった原告の遺影を胸に涙ながらに訴える兄妹の
映像が、肉声が延々と流れる。ほだされそうだ。
だがちょっと待って欲しい。
戦争で被害を受けたのは、東京大空襲だけではなく
大切な身内を亡くした人は全国にたくさんいる。
あの戦争では300万人が亡くなったのだ。
戦争の惨禍は国民全体が共有した悲劇ではないのか。
身内を失った悲しみを国民みんなが共有し、
力を合わせて昭和の時代を生きてきたのだと僕は思う。
「誰のせいでこうなったのか」
そうした個々の思いをぐっと呑み込んで、
みなで団結して国を守って戦った記憶として昇華する、
そういう暗黙の、重い重い約束があるような気がする。
それでこそ戦後の復興が成ったのではないだろうか。
だから今になって急に
「国は謝罪せよ、一人1千万円だ」というのはどうか。
こう言ってはなんだが
全国の遺族の思いに対する裏切りではないか。
誰が焚きつけたのか、誰がどんな思惑で始めたのか。
僕は原告の方々が本気だということだけは、わかる。
戦後の歴史観がそうさせていると思うからだ。
戦争について、国民はとばっちりを受けた被害者だと
思いこんでおられるのだろう。
だがそれは・・大いなる虚妄である。
真相は占領政策により忘却の淵に沈められた。
アメリカの占領軍GHQは
終戦後7年をかけて日本人を洗脳した。
「軍国主義の侵略国家・日本が支配欲で始めた戦争だった」
という歴史観の刷り込み・洗脳が
図書没収、私信の検閲、学校教育、公職追放…
あらゆる手段で、全ての日本人に対して徹底的に行われたのだ。
当時、報道は100% 占領軍による検閲下にあった。
新聞やラジオは日本軍の暴虐ぶりをねつ造・誇張して
ウソを全国の家庭に送り続けたのである。
そして戦後60年たった今も
マスコミは同じことを続けている。
5月放送のNHKスペシャル
「ジャパンデビュー」シリーズでは
戦前の台湾統治を悪しざまに描き、
事実に反する内容と取材証言の改ざんと
捏造が指摘されている。
(この番組に対し、全国の一般視聴者一万人と
取材を受けた台湾人が原告となり
NHKに対し訴訟を起こし係争中だ)
そして昨日のニュースである。
原告団の訴えは東京地裁で棄却された。
僕は当然だと思った。
だがNHKのテレビカメラは
悔しそうな原告の声や顔をアップで
映し出し、スタジオのキャスターは
無念そうな表情で言った。
NHK:「こうした人々がまだまだいることを
私達は忘れてはなりません」
NHKは、洗脳は全く解けていない。
「占領軍なき占領軍支配が続いている」(田母神俊雄氏)
残念ながら、至言であろう。