厳冬の原野にて(2)

100129-D-164

先月から数えてもう7回目の撮影になる。
僕の狙いは冬の猛禽「ハイイロチュウヒ」だ。
数が少ないことや、警戒心が強いことなどから
日本で見られる野鳥の中でも撮影が難しい部類に入るだろう。
そして技術的な面からも、多くの野鳥カメラマン泣かせの鳥である。

その名の通りグレイの背中と頭が特徴的で、対照的に白い腹部と先端が黒い羽。
一度見ると忘れられない美しい姿であるが、
この鳥を撮影するのが難しい理由は、まさにこの羽毛の色にある。

一面灰色(グレイ)という配色は、実にピントが合わせにくいのである。
かといってコントラストのある羽の先端(白に黒)に合わせると、肝心の顔がぼけてしまう。

チュウヒ類は軽い体で舞うように低空を飛び、葦(ヨシ)原の中でネズミを捕る。
動きが速いうえ、この葦が画面の邪魔をすることも、この鳥の撮影難度が高い理由だ。
ピントに関してはAF(オートフォーカス)レンズを使っている人にはお手上げだろう。
(僕は古いマニュアルレンズを使っているので、この点では有利かも知れない)

自分の目と指先でしっかりと動きについていかねばならないが、何とかしてみせる。

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そんなわけで、ハイイロチュウヒ(略してハイチュウ)という猛禽は、まさに挑戦しがいのある相手だ。
数が少ないと書いた通り、今年のこの地方にはわずか2羽しか確認されていない。
南北12キロに及ぶ海岸線の原野のどこにいつ現れるかもわからない。撮影は第一に運が必要だ。
神様との根比べ・・そんな言葉がぴったりくる。

この鳥に魅せられて、先月はほとんどこの原野での撮影となってしまったが、
冬の猛禽が見られる季節はそんなに長くはない。なんとか胸のすくような一枚をモノにしたいと思う。

(写真:ハイイロチュウヒ雄)

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