4月ももうすぐ終わる。
北の大地にも遅い春の気配が漂う。
桜の季節がもうすぐやってくる・・・
折からの天候不順で例年より開花の遅れが見込まれている。
大型連休中のお花見にはどうやら間に合わないらしく
たくさんの人が落胆しているのだろうと思う。
自然とはそういうものであると、分かってはいるのだが・・・
**
それにしても
桜の花の美しさとは、いったい何だろう。
皆がこれほど熱中し心ときめかせて待つ、あの花に
私たちは本当は何を見ているのだろう。
欧米人も満開の桜を見て美しいと感じるけれども
その花びらが散りゆく姿に美を感じることはないという。
だが私たち日本人は春風に舞う花吹雪にため息をもらし
池の面に浮かぶ一片の薄紅色にもしみじみと感じ入る。
これこそはDNAのなせる業にちがいない。
私たちの民族が長い歴史を通じて培ってきた共通の記憶
それは私たちを遠い古代のご先祖様と結びつける。
そして「自分のルーツ」をはっきりと確信する拠り所を与える。
私たち日本人は幸せな民族だと、つくづく思うのだ。
私たちが桜の花を見ているとき
きっと魂は古(いにしえ)の先祖(みおや)と語り合っているのだ。
目に見えない精神のつながりをそこに感じているのだと思う。
久方の 光のどけき 春の日に
しづ心なく 花の散るらむ
(紀友則/古今和歌集)
平安の昔の歌人が詠んだ歌を、1,000年後の私たちが
何の違和感もなく暗唱し、その心を感じ取ることができるとは
考えてみれば驚くべきことである。
この連続性、この確固たる精神のつながり!
何と素晴らしいことだろうか。
この日本という国が育んできた深い精神性の象徴
それが桜の花であると思えてならない。
(写真:桜とヒヨドリ/東京・九段)
お元気そうですね、コメントありがとうございます。
今年は流氷とは縁のない冬を過ごしていました。主に日高地方で・・
世界遺産の意味、私も疑問が尽きません。
知床で行われている熊への行為を知るにつけ、
観光産業を優先する思想は自然に対する人間の謙虚さを失わせると痛感させられます。
鹿を神の使いと考えた祖先の思いを感じ取り、共感できる伝統感覚、それが古都奈良の最大の価値ではないかなあと思うのですが・・・
(10/5/19)
お元気ですか。
今冬の撮影は収穫有りでしたか?
こちらは、昨冬に続き、最後の流氷を見送ることになりました(涙)
私は、一足先に奈良で、脈々と受け継がれる歴史に彩られた「桜」を描いてきました。
そして、世界遺産に生きる鹿たちについて、少々考えさせられました。
国道沿い鹿柵の向こうに、新たに設置されていた網囲い。その中で所狭しと群がる野生の鹿。
観光客にいとも容易く体を触られる、神の使いの鹿。
世界遺産の意味とは?
(2010.4.25 22:46)