石原都知事の決意

090125-D-165

石原慎太郎氏が、東京都知事を辞して国政に復帰する意思を表明した。
戦後日本が60年間先送りにして未解決のまま抱えてきた「主要矛盾」。
それをはっきりと具体的に指摘して、是正の必要を全国民に訴え、自らその先頭に立つ覚悟と決意を示した。

占領軍に強制された憲法体制が、私たちの心に権利意識偏重の我欲を育ててしまったこと。
国の会計制度不備のために、潜在する国力が発揮できず空回りしてきたこと。
対米追従の無気力外交に慣れて、全国の米軍基地の固定化を黙認放置してきたこと。
ゆとり教育の愚行を反省せず学力低下に無為無策の文部行政など、中央官僚の腐敗と堕落。

国民として耳が痛い。だがこれらは私たち国民全員の課題なのである。
利権を漁る浅ましい官僚を育てたのも、厚顔無恥な政治屋を送り出したのも、みんな私たち国民ではないか。
石原氏は80歳の高齢にして「最後のご奉公」で国に尽くす決意を語ったのだ。
この老政治家の真剣な姿を見てもなお冷笑し罵倒する者がいる。人として許せない思いだ。

また今日の会見を中継したNHKのスタジオ解説は遺憾だった。
安倍新総裁誕生の報道でもそうだったが、関心はもっぱら今後の政局動向の予想にしかなく、石原氏の国難打開の思いを込めた言葉は完全にthroughされてしまった(1~3)。

1 何故この時期に辞任表明を?
「(石原氏は)選挙近しとみて最後のチャンスだと思ったのでしょう」

2 保守勢力を結集して第三極を作るとのことだが、今後の見通しは?
「かなり厳しい。橋下氏の日本維新の会(最近やや落ち目だが)との連携がカギ」

3 都政を途中で手放すことの影響は?
「2016年五輪の東京招致を失敗した。2020年に期待する人も多いのに途中で辞めるのは懸念がある」

このように、メディアの関心はいつも上っ面の党利党略、政局論だけだ。
石原氏の渾身の想いも、メディアの人間には理解不能で面倒なのだろう。
情けないの一言である。

解説者の言葉の端々には、都知事の発言内容に言及せずに無難な政局論でお茶を濁そうという雰囲気が感じられた。

五輪招致は後任の猪瀬副知事に期待したい。それよりも国民が知りたいのは「石原氏は国政に復帰して何をしたいのか」であろう。
石原氏は「まだまだ話したいことが一杯あるな」とメモを見てつぶやいたので、私は次の言葉を期待したのだが画面はスタジオに切り替わり、中継は会見の途中で終了した。

石原新党は「たちあがれ日本」をベースに誕生することになろう。
その主張は、GHQに強制された戦後体制を根本的に見直して、もういちど本来の日本を取戻そうという思いである。
ゆえに占領体制下で通用した特権を今まで60年享受してきた大新聞や放送局など既存メディアや、一部の在日外国人に憎まれるのはある意味当然だろう。
だが同時に、戦後日本人の劣化と堕落を悔し涙とやり場のない怒りで見つめて耐えてきた一般国民は、石原氏の思いに共感するだろう。

都知事が尖閣諸島の購入を宣言したのが4月。以後一気に世論が盛り上がり、寄付金は14億円を越え、改正領海警備法も成立した。

現政府の最後っ屁・国有化は中国に屈して灯台すら建てない半端モノだが、それでもわが国の正常化への一歩には違いない。

その機運を作ったのは、他の誰でもなく、石原都知事の勇気と行動だったことを私は忘れまい。

国際社会は国益の衝突だ。非情で理不尽だ。平和は戦いも辞さない気力があってこそ保たれる。
その真実を忘れ、争いを忌避するだけの盲目的な平和主義に身を任せてきた日本社会。

今私たちを苦しめる子供達の泥沼のいじめ問題は、このことと無縁ではあるまい。

西暦2012年、いや平成24年。
わが国は長い「精神の占領時代」から目覚める契機を今掴みかけているのかもしれない。
100年前、欧米列強の侵略に対して逃げずに戦ったからこそ、日本の国は今に残った。
私はご先祖様の勇気に素直に感謝して、その歴史を肯定して語り継ぐことから始めたい。
そして石原慎太郎氏こそは、あの時代の勇気を忘れず現在に伝えている日本人なのだと私は思っている。

石原都知事の決意」への2件のフィードバック

  1. やっさん 投稿作成者

    凡そ誰かの発する「本気」を、正面から素直に受け止める心を失った戦後日本人の感性の低い姿を感じます。何でも陳腐な言葉で貶めて済ませることしかできないのは、心の貧困の証ですね。
    (12/10/30 09:05)

    返信
  2. 清水の山内

    石原氏の、都知事任期半ばでの辞任を聞いて驚きましたが、「己の命があるうちに」との思いがあるのだろうと思います。しかしながら、魂の抜けたマスコミには、そういった人の心が解らないのですね。
    (2012/10/27 21:07)

    返信

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