尖閣問題、その意味するもの(後)

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わが国がなぜ世界に存在し得ているのか、それを真剣に考えたことがあるだろうか。

古代からわが国は一度も外国に侵略支配されたことがない希有な国だった。

13世紀の蒙古襲来は、まさに日本消滅の危機であったが乗り切った。
先の大戦でついに初の大敗北を喫し、国家消滅の危機を迎えたが、幸いにも国の形は守られた。

考えてみれば、67年前などついこの間のことである。
それまでの長い長い間、一度も負けたことがなかったことこそ奇跡的だ。

例えばイギリスなどは、60回以上戦争に負けている。
実に世界の国々は常に戦乱と興亡を繰り返してきた。
仲小路彰氏によれば、三千年の人類の歴史で、戦争がなかった時代はわずか30年に過ぎないらしい。

そして、国家は油断をすればあっけなく滅び得るものなのだ。
古代支那の王朝を見よ。マヤ・アステカ、大ローマを見よ。近くはソ連また然りである。

「神武このかた」二千年以上続いている日本、そんな国は世界中探しても他には見当たらない。


先に、尖閣諸島と沖縄を狙う中国の戦略について触れた。
そう易々とその手は食わない、と信じたいところだが、わが国の実態は甚だ不安である。
民主党政権がこの夏で丸三年を迎えるが、目下わが国は人体に例えれば脳死状態にある。
その血流たる経済は、長い不況に技術と人材が海外に流出し、製造業は上も下も衰弱の一途だ。
景気浮揚策を怠り、国民から更なる税金を絞りとって財政再建を繕おうとする財務官僚。
若者の心は将来への不安にさいなまれ、道徳の軽視と治安の悪化がジワジワと社会を侵蝕している。
少子高齢化が医療、社会保障その他あらゆる分野で不均衡を生起し世代間の不信も拡大している。

大言壮語と不勉強のお粗末な政権では、国家百年の計など到底夢物語である。
そればかりか、行き詰まった挙げ句にとんでもない暴挙に突っ走るかもしれない。


例えば、少子化問題を解決しようと大規模な移民政策を強行したとすればどうなるか。
さあ待ってましたとばかりに、中国人による人口侵略が始まるのは間違いない。
日本政府の甘い思惑を打ち砕き、想像を絶する数の支那人移民が殺到する。
温和な一般日本人の生活環境はなすすべもなく破壊されていく。

かつての満洲、今のチベットやウイグルを襲う悲劇が繰り返されかねない。
日本人は日本に住みながらも、少数民族に追いやられていく。
自然に混血が進み、親子で言葉の通じない家庭が急増する。
学校でも、社会でも圧倒的に多数派を占める中国語が公用語になる。
世代が移り社会で通用しなくなった日本語は、アイヌ語のように歴史の彼方に消えていく・・・

「かつて東洋に日本という国があったんだがね」と世界の人が口にする光景を想像して見よ。
冷膚に怫然たるものがあるではないか。


現在、中国政府は今わが国の水源山林や港湾など、利便な土地を買い漁っている。
また本国の指令ひとつで人民解放軍兵士に豹変しうる留学生を毎年送り込んでくる。
日本政府は留学生支援といって税金でこれを奨励する。能天気にも程がある。
以前長野の聖火リレーに集結した中国人留学生たちの暴虐は記憶に新しい。
中国の日本浸潤は、日本人の油断に乗じて計画通り確実に進んでいる。


日本人が長いこと忘れている世界の常識がある。
それは「外国とは本質的に危険な存在である」ということだ。

我々はとりわけ「友好」という言葉に弱い。
また誠実を尽くせば相手も応えてくれるはずと考える。
だが現実的な国際社会では、そんな甘さは鴨がネギを背負って来るが如しだ。
情勢次第で昨日迄の友好が一変するのが国際関係の真実であり、
都合次第で条約も保古にされる。

まして国連などは大国が利害をぶつけ合う戦いの場でしかない。

その現実を鑑みて今ひとたび「日本国憲法」前文を見よう。

「平和を愛する諸国民の正義と公正を信頼してわれらの安全と生存を保持しようと決意した」とある。

この憲法を奉じたその日から、日本人は世界に通用しなくなったのである。

「戦わないことが最も強いこと」などという倒錯した幻想に甘えてきたせいで日本人の常識は世界の常識とかけ離れてしまった。

この思い込みを捨て、すべてをもう一度根底から捉え直さねばならない。
己を持するために、戦うべきときは戦う。当たり前ではないか。

外国は彼らの論理で押してくる。吾等は日本の言い分をもって堂々と渡り合えばよい。
相手のご機嫌取りばかりする腑抜け外交とは訣別すべし。
その気概を取り戻すことこそ、この節目の時代を生きる吾等の務めであろう。

日本の国に生まれ、この国で暮らすはずの吾等の子孫の洋々たる未来のために。

(終わり)

(写真:橿原神宮 深田池にて)

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