「日本」が生きていたあの時代を思う日

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「昭和の日」4月29日、私は国旗を掲出して神棚にお塩とお米を捧げた。

菊の花を飾り、日本会議制作のDVD「昭和天皇」を観賞した。
(このDVDは実によく出来ており、見るたび感動で目から鼻水が出る)

昭和は「日本国」が生きて稼動していた最後の時代だったのかと思う。
妙な言い方だが、私は平成日本を「日本国」と思えないのである。

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【誇りと矜持が心を救う】

商業原理の「資本効率の追求」は人の心を冷たく蝕む。
17世紀の欧州、特に商人国家イギリスの生んだ鬼子である。
(そこで貧困者を救おうとして社会主義思想という鬼子も生れた)

今の日本も、300年遅れで資本効率主義が人心を荒廃させている。
金に汚い人が増えたのは、そうでないと生きられないと思うからである。

「誇りで飯が食えますか」とドラマで誰かが言っていた。
飯は食えないが、誇りは大事だ。誇りがない人はただ醜い。

効率と金で心が砕かれるのを防ぐのは精神の「誇り」である。
その点、英国人などpride「矜持」を重んじることこの上ない。
彼らは効率主義の本家だけに、堕落せずに済む方法をわきまえている。

一方その点で、日本は極めて不利な特殊事情を抱えてきた。

心に誇りや矜持を与えてくれるのは民族の歴史に根ざした価値観である。
歴史的に正当な行為は貧富関係なく尊敬され、人を豊かな心にしてくれる。

だが日本人はその大切な歴史の正義を、始めは強制で、後には自らドブに捨ててしまった。
先祖に汚名を着せたまま、名誉回復の努力をせずに70年も過ごしてしまったのだ。

そのために真の誇りと矜持を知らずに人生を終える世代が生じてしまったことは本当に悲しい。

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色々勉強すればするほど、日本人は凄い民族だなあと嬉しく思う。
祖先は一万年以上前から、この列島で「独自の文明」を育んできたのだ。

古くは支那や印度、近くはヨーロッパから文明の利器を導入しては
「こんなもん、俺たちにかかればすぐ同じものが出来るよ」とばかりに
オリジナルを凌ぐものをどんどん作ってしまうのだから凄い。

スポーツ競技の強さ、高度な科学技術と工業製品、そして人々の礼儀正さや優しさなど、今もわが国の培ってきた文明の高さは日々証明されている。

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その民族の末裔が今、世界に対して卑屈に萎んでいる。

・英語を小学生にまで教えようとする病的な欧米崇拝。
・従来無関心、だが国連に認められた途端にはしゃぐ「世界遺産登録」。
・TPP拒否で「世界から孤立する」などと誇大な妄想に囚われる恐怖症。
・大切な祖先の魂をお祀りするのに外国に遠慮する靖国参拝反対論者。
・学校教科書の内容に外国から文句をつけられないかと怯える教育行政。

自国の歴史と文化を「善きもの」として堂々と掲げるのに何も憚る必要はない。
「世界」に褒めてもらわなくても、別にちっとも痛くも痒くもない。

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自分を信じていなければ、何をしても不安で中途半端に終わる。
努力しないのは、努力しても無駄だと思い込んでいるからである。
先々に希望をもてないのは、信じられる価値を持たないからである。

今まで70年、日本人は「経済の力」を信じて生きてきた。
金を貯めて、その金を遣うことが、人生なのだと思ってきた。

もうやめたい、こんな表面的で薄っぺらな生き方は。

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ドブに捨てたものは大事なものだった。
だから拾って、もう一度大切に信じようじゃないか。
日本という国は、本当はどんな国でしたか?

神様とご皇室に感謝して、おおらかな気持ちで生きる民の国。

大和ことばを大切にして和歌に詠んできた、繊細で優美な文化の国。

外国のものを取捨選択して良いところを慎重に取り入れる智慧者の国。

ご先祖から続く命のつながりを自分の中に感じ取れる奥深い心の国。

みんなで作る「国」を大切にする、素直で清らかな民の国。

武力で侵そうとする者には敢然と立ち向う、気高い民の国。

私たち日本の国は、古くからあるがちっとも古くない。
世界中が羨む珠玉のような、完成された希有な国柄なのだ。

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昭和天皇のDVDには、陛下ご本人のお姿がもちろん多く出てくるが
私の胸にいつも変わらない感動を呼び起こすのは、一般民衆の姿である。

戦後のご行幸の先々で陛下をお迎えする、素直で優しい人々の姿に胸を打たれる。
ご在位奉祝の夜に東京の街を埋め尽くした提灯行列。
人々の美しい素直な敬愛の心と、それにいつまでも手を振ってお応えになる陛下のお姿。
溢れるような君臣のまごころの交流に、理屈を超えて涙が出て仕方がない。
ああ、日本人でよかったなあと、心の底から思えるのである。

世界の国々は、こんな日本の姿をみて羨ましく思うはずだ。
彼らがずっと求めて得られない、完成された国の姿が、ここにあるのだから。

それを知ることから、日本人はきっと己を取り戻す。

(終)

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