月別アーカイブ: 2015年4月

桜咲く神宮で

思いもかけぬ暖かさは、今年の桜前線を駆け足にさせた。
先週の函館・松前に続き、札幌も27日に円山公園の桜の満開を聞いた。
あるいはGW中に道東や道北でも咲いてしまいそうな勢いである。
白樺の若葉が萌えてきた野山の雪の減り具合を見ても、今年の春の早さを感じる。

北海道神宮は札幌市の円山山麓に鎮座する。我が家からもほど近いので、
境内の桜を愛でながら小さな動物や野鳥たちを撮影するのが私の恒例である。

参道の桜

参道の桜

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朝一番の清浄な境内の空気を吸って参拝を済ませる。8時前はまだ人も少ない。
参道の桜の樹々は、薄紅色の雲を重ねたような枝を優美に差し掛けている。
通勤前に参拝するスーツ姿の若者や、敬虔な面持ちでゆっくり歩を運ぶ初老の男性、犬を散歩させる女性たちがちらほらと行き過ぎる。
不安げな曇り空がいつしか晴れて、春の光が柔らかく神域の杜を包みはじめた。

エゾリスが走り回る。秋に埋めておいたクルミを忙しく掘り出している。
そんなに大きなのをくわえて、あごが外れないのかと心配になるほどだ。
ちりちりと軽やかなさえずりが聞こえてきた。
シジュウカラやハシブトカラが、桜や梅の花の間を飛び回っている。
美しいヒノキやスギの林の中では、枝のカラスがのんびり啼いている。
人界の雑事を忘れる至福のひとときである。

木鼠の耳ふさの毛の揺れるごと  やはらかな風吹くここちして

あった、あった

あった、あった ♩〜

 

春のおとづれ

四年に一度の統一地方選挙、前半戦が終わろうとしている。
今回、私は知り合いの札幌市議会議員の選挙戦を手伝った。
例年この時期は残雪の森で繁殖期を迎える小動物や野鳥たちをさがすのだが、
年末の衆院選で私を応援してくれた市議に頼まれたため今年はスーツネクタイで過ごした。
そして今日が投票日だ。約ひと月の間いろいろあって私は最後は彼と袂を分つことになった。
今、札幌と日本のために真に有意義な結果が出ることを願いながら静かに夜を待っている。

あの衆院選出馬は私にとって思いもかけない出来事だったと今さらに感慨深い。
縁のある「次世代の党」からどうしても出てくれと頼まれた。当選など到底考えられぬ状況だった。
ただ北海道に「次世代の党」の名を知らしめる意義を信じて、結果は考えずに全力を尽くした。
あのとき知り合った人たちとの新しい縁も今後どうなっていくのかは正直わからない。
自分の信じる道を素直に進むのみだ。他者への敬意を忘れず、思い上がることなく謙虚に。

札幌の町並みの向こうに見える藻岩山や手稲山の雪はどんどん薄くなってきた。
長い冬を過ごしてきた樹々の冬芽はもうすぐほころんで瑞々しい若葉が生まれるだろう。
春一番乗りのフキノトウたちが雪の絨毯の隙間から頭を出している。
暖かい風が吹き柔らかな日差しが降り注ぐ北の街に、いつものように心浮き立つ春がやってくる。
桜前線はいまどのあたりかな?なんてようやく気にする余裕が出て来た。

樹液をナメナメする春のエゾリス

樹液をナメナメする春のエゾリス