日別アーカイブ: 2014年11月16日

稜線から下りてくる秋(2)〜 10月の山々

11月も早くも中旬。札幌ではこの冬はじめて本格的な雪が降った。
窓の外は銀世界になったが、ついこの間の明るい秋の日を思い出しながら
10月の紅葉の旅を簡単にまとめてみようと思う。

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■「トナシベツ渓谷」の紅葉と渓流のアメマス

10月初めに夕張岳の東麓のトナシベツ渓谷を訪ねた。
高山植物で名高い夕張岳は、西側の大夕張コースが登山者に人気がある。
だが私はまだ登ったことのない東側の静かな金山コースに惹かれている。
今回はその登山口の偵察も兼ねて車を林道の奥へ走らせた。

静かな山の秋だ。沢がさらさら流れ、ひと風ごとに枯れ葉がゆらりと舞い落ちる。
登山口の駐車場には私しかいない。きらめく川辺にもみじの赤が燃えている。
三脚を立て、構図をとり露出を決め、あれこれつぶやきながら盛りの秋色を堪能した。

一時間ほどで車にもどり釣り竿を出す。胴長を履いて素人漁師に変身だ。
胸を躍らせて、本流に支流が合して泡立つ深い渕を狙って竿を振り込む。
小さい重りをつけたエサが、ポイントの深みにすっと沈むや、ぴゅっと引き込まれた。
コンマ何秒かの呼吸で手元を合わせる。ぐんと手応えが返る。「ニジマスかな?」
いや深みにグイグイ引き込むこの動きはアメマスのようだ、それも結構な大きさだぞ。
竿を立てて向こうが疲れるのを待ち、ゆっくり岸辺に寄せる。ウム、アメマス君だ。
30cm弱というところか、いい型だ。

この二年ほどで私もだいぶ釣りの基本を覚えて、坊主で帰ることはなくなった。
だが逃げようともがく魚を見て可哀想に思い、そこで止めてしまうこともある。
そんな奴でも、渓流釣り自体はとても気持ちよくて楽しいのでどうにもならない。
仲間には笑われそうだが、私は生まれつき甘ちゃん性質なのだろう。
この日もアメマスを三尾だけ釣って大事に持ち帰って美味しく頂いた。
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