月別アーカイブ: 2010年8月

国民精神はどこにある

100714-D-0080
「人ごとではない」
「最後はみんな独りなんだ」
100歳を超えるお年寄りの所在不明が続発している。
生死すらわからない、連絡がとれないという。
あろうことか家族による年金の不正受給まで起きているらしい。

本当にここは日本なのか?と背筋の寒くなる思いである。

ことほど左様に
異常を異常と感じなくなった現代社会。
一体感のないバラバラの、不安だらけの「個人」生活。
そんな中で、最後の拠り所たる家族関係すらこの有様とは。

今や血のつながる家族よりも
犬や猫というペットが家族だそうだ。
自分の気に入ったものだけあればOKという思い上がりで
人のつながりを軽視あるいは忌避した結果
却って人生を損なっていることに
どれほどの人が気づいているだろうか。

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いわゆる「家族の崩壊」について考えるとき
私はいつも、現行の介護保険制度が頭に浮かぶ。
これは親を他人の手にゆだねることを制度化してしまったもので
いわば法による「親不幸ノススメ」、天下の悪法だと思っている。

制度導入時、会社員だった私はいいようのない嫌悪感を抱いたものだ。

親の介護は確かに労ではあろう。
しかし、老いた両親を子が看るのは当たり前のことで
人としてまっとうなあり方だと誰もが分かっているはずだ。

介護保険制度は、その自然な親子の情を安易に削ぐものだ。
目先の労苦を取り除くことだけを重視し、人の気持ちを捨象している。
すなわち老親の世話を「苦役」と見る非情さを不問に付している。

どんなに親切な介護ヘルパーも、しょせん他人であり
この世でかけがえのない家族に代わる存在ではない。

親の世話を他人様に頼む場合、相当な苦悩があってしかるべきで
それを制度にしてしまっては人の心は浅く薄くなるばかりである。
介護の手が足りないケースについて根本原因は何かを含めて
人の心に本当に必要なものは何なのかを
もう一度よく考えてみるべき時期ではないかと思う。
(この制度はもともと見直しを前提でスタートしたはずだ)
安易にヘルパーを増やせばいい問題ではないし
ましてや、外国人労働力に頼るなどもってのほかだ。

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とにかくも
百歳まで生きることは間違いなく言祝ぐべきことであってほしい。
邪魔にされたり行方不明とはあまりに悲しい。
いずれは自分の行く道でもあるのに。

戦後あまりに個人の自由を優先したために
家族の意味も
先祖から子孫への繋がりの意味も
肌で感じられなくなった日本社会がある。

現在の自分のことしか考えられない国民の心の空しさを
私はこのうえなく重大な危機と感じている。

「幸せとは何か」とは答のない問いかもしれない。
だが人はみな老いるという現実に向かい合うとき
たとえ不便でも貧乏でも
心安らかに老いていけた昔日の社会秩序のありがたさを思う。

万古変わらぬ人の宿命に処する知恵を
先人の伝統精神から汲み取り示すことは
まぎれもなく
私たちの存亡にかかわる危急の課題であろう。

(写真:夏の十勝岳に咲いたエゾイソツツジ)

”夏の風物詩”にもの申す(NHKへの怒り)

Tokyo-aboard
毎年よくもまあと思うほど、戦争関連の番組を並べる8月のNHK。
その内容はいつも決まって「旧日本軍の悪いイメージの刷り込み」だ。
ここまで一方的だと却って不自然ではないかとは、露ほども思わないらしい。

今夜は「ソ連によるシベリア抑留」を扱った特集番組だ。
少しは日本の立場に立った番組を作る気になったのかと期待して見てみた。

***
だがやはり期待した私が愚かだった。
「ソ連によるシベリア抑留で57万人の日本人が強制労働をさせられ、そのうち少なくとも5万5千人が亡くなった。」
これは事実である。

私は日本人として「よくもやったな、ソ連め・・・」と自然に思う。
あの頃を生き抜いた軍人の方々の苦労や苦悩を、ひとりの若輩としても
静かに想像してみるのである。「どんなにか帰りたかったろうな」と。

番組はソ連が抑留した日本軍人に対して行った洗脳(思想教育)の
巧妙かつ卑劣な手法を次から次へと悲惨さたっぷりに描き出す。
日本兵士たちの望郷の念を逆手にとって
「社会主義思想を身につけた者から帰国させる」と触れ込むソ連当局。

過酷な労働と、募る日本への思いから
抑留者の中にソ連に恭順する者が現れたのも無理はなかったろう。
当局はそうした者を優遇することで、さらなる裏切りや密告を奨励し
日本兵の連帯感を断ち切り、自ら共産主義に入信するよう誘導したのだ。

昨日までともに戦い信じ合ってきた仲間を裏切らねばならない。
日本人が日本人を売る、友達を密告する。
そうすれば日本に帰れると・・・

こうした話が抑留体験者へのインタビューを中心に語られる。
私は涙が出そうになった。

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だが番組中ただの一度もソ連に対して批判的と感じられる表現はなかった。

またこんな部分もあった。
ソ連は抑留者たちの軍隊階級に応じて労働の重さや食事に差をつけることで
かれらの間に不満と反感をあおった。極限状態にあった彼らは、果たして
将校の吊るし上げやマルクス主義の勉強会を開くなど、当局の狙い通りになっていく。

番組ではこれを日本軍の階級組織の厳しさが引き起こした悲惨な状況として語るだけで、ソ連の人体実験の非道さという側面を無視した。

このように、事実を述べながらもその解釈が不自然な点が異様だった。
相手の悪行に触れないように無理に逃げ回っているように感じる。

そこで思い出されるのは、広島の平和記念公園の碑文である。

「安らかに眠ってください もうあやまちは繰り返しませんから」

主語がないので有名な碑文だが、マスコミは暗黙了解的に
「日本人のあやまち」という文脈で報道する。
原爆を投下し民間人30万人を大虐殺したのはアメリカであり
「碑文」は彼らに言わせるべき台詞であることは言を俟たない。

「戦争が悪い」とか「向うがやらねばこちらがやっていた」などと
喧嘩両成敗のように原爆投下を正当化するような態度は
一見大人の議論のように見えるが、とんでもないことで、
相手の強弁に正当な議論もできずに従うだけの臆病者の言い訳である。
そして被爆者や懸命に戦った同胞たちへの最大の裏切りである。

日本人の自意識を欠き、事実を曲解した番組を並べて
「戦争を風化」させているのは他でもないNHK自身であるとはっきり言っておく。

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今日の番組もしかり。
シベリア抑留者たちは同胞を裏切り思想を転換させられた。
帰国後は「アカ」のレッテルを張られ就職に困るなどの多くの辛酸を舐めた。
それを番組は「国家と戦争に翻弄された人生でした」と簡単に締めくくった。
こんな人を馬鹿にした言い方があるだろうか。
「国家と戦争に翻弄され」などと…低劣で浅い歴史認識を自ら露呈している。
また人格を玩弄する思想洗脳を施したソ連の悪行にはいっさい批判もなし。
同胞を57万人(!)拉致し、不法に11年も強制労働させ5万5千人を死なせた相手に対して一言もないとは。
あなたたちはいったいどこの国のテレビ局なのか。

日本人を愚弄するNHKの態度はさらに続く。
戦後、シベリアに囚われの身になった家族を返せと
ソ連大使館前にデモ行進する大勢の日本人の姿の映像が流れる。
NHKはすかさずコメントを忘れない。
「この背景には冷戦を有利に運ぶためのアメリカの意図がありました」
「対日理事会でアメリカは、抑留者を返さないソ連を激しく非難しました。
共産主義のソ連が国際社会から非難される効果を狙ったのです。」

「抑留者を返せ」のデモはアメリカの都合で行われたというのだ。
あきれて言葉もでない。大勢の日本人の思いはNHKに全く無視された。
北朝鮮に拉致された同胞家族にも同じように言えるのか。日本人の気持ちに立った歴史認識を持てと腹立たしく思った。

まさか日本人の気持ちや立場を無視することが
公平公正な番組作りであるとでも思っているのか。
このような歪曲番組を作り続けるならば
N・H・K(日本放送協会)などと名乗る資格はない。
私は本当に憤りを感じている。
日本の歴史的立場や気持ちを無視し続けるNHKは、占領軍放送局である。

(写真:東京上空から 「この繁栄は誰のおかげなのか」)